2012 年 50 巻 5 号 p. 350-356
バイオプロセスの適用範囲を脂溶性化学品にまで拡大すべく,有機溶媒存在下での生体触媒利用技術の開発に期待が寄せられている.ここで重要な役割を果たすのが,有機溶媒に対する耐性や親和性といったユニークな特性を有する酵素や微生物である.ただし,いかに優れた生体触媒といえども,これらを無作為に基質と振り混ぜるだけで生産物が得られるわけではない.ここでは,非水バイオプロセスの実現に向けた近年の取り組みをそれぞれの反応実施形態により大別し,解説してみたい.