2013 年 51 巻 1 号 p. 36-42
植物ホルモンの一つであるストリゴラクトンを立体制御しないで有機合成すると,少なくとも4つの立体異性体が生成する.これら異性体のなかで高い生物活性を示す立体はある程度限定されているものの,いずれの異性体も高濃度では活性を示すと考えられてきた.しかし生物種によってはストリゴラクトンの立体を厳密に認識し,活性を示した立体以外の異性体は,逆に阻害作用を有することが明らかになってきた.ここではストリゴラクトンの立体異性体とさまざまな生物種に対する活性の違いについて概説する.