2013 年 51 巻 3 号 p. 160-167
ヒトを含む哺乳類は自律神経系と内分泌系が連携して体内外の環境変化に対し体内恒常性(ホメオスタシス)を維持する.このとき自律神経系は内分泌系よりも迅速に反応する.しかしながら,各臓器・組織を支配する自律神経の活動変化は一様ではなく環境変化に別個に反応する.たとえ心臓の交感神経が興奮したとしてもほかの臓器・組織を支配する交感神経は必ずしも興奮せず,逆に抑制されるものもある.本編では食品や薬品などの機能解析に供するために動物実験の結果をもとにして各臓器・組織の自律神経の活動変化と生体機能変化の関係を述べる.