2014 年 52 巻 1 号 p. 33-39
バイオマス利用による資源循環型社会の構築はバイオサイエンスに与えられた重要な課題である.木質系ハードバイオマスと比べ,ソフトバイオマスである食品加工残渣は結晶性が低く,比較的再利用しやすい利点をもつ.また,植物種により細胞壁多糖成分や二次代謝産物が異なることから,有用物質生産の出発素材として高いポテンシャルがある.一方で,細胞壁構造が多様であるため,各加工残渣の分解条件の最適化は煩雑であり,汎用性の高いプロセス開発が求められている.本稿では加工残渣の利用における現状と可能性を解説するとともに,最近注目を集めているマイクロ波処理による植物組織の分解法についても紹介する.