抄録
シアリダーゼは糖タンパク質や糖脂質糖鎖から酸性糖であるシアル酸残基を遊離するExo-型糖分解酵素で,糖鎖分子のコンホメーションや認識機構などを変化させ,多くの細胞機能にかかわっている.哺乳動物細胞には,遺伝子構造,細胞内局在や酵素学的性状が相違する4種が存在するが,これらはがん化で互いに異なった挙動を取り,発現異常を示すことがわかってきた.本稿では,シアリダーゼ異常によってもたらされるがんの糖鎖シアル酸制御の破綻とその意義について,筆者らの研究成果を中心に,この変化ががんの発がん過程や進展にいかに深くかかわっているかを紹介したい.