化学と生物
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解説
ファージを利用した青枯病防除技術の開発
巨大ファージRSL1と繊維状ファージRSMsの有効性
山田 隆
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2014 年 52 巻 6 号 p. 371-379

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抄録

病原菌を自然界の天敵ファージを用いて駆除する技術(ファージセラピー,ファージバイオコントロール)の研究・技術開発が欧米を中心に急激に再燃している.長年の抗生物質を中心とした薬剤使用によって自然界に蔓延した膨大な薬剤耐性菌への対応策である.すでにファージによる多剤耐性菌感染治療の成功例が蓄積し,微生物ウイルス国際学会(第一回,2010年6月パスツール研究所,フランス;第二回2012年6月ブリュッセル,ベルギー)での主要トピックスとなり,大きな潮流が起ころうとしている.本稿では,農業分野で大きな問題となっている青枯病のコントロールをめざして,ファージを利用した「診断・予防・防除」システムの開発動向を紹介する.特に巨大ファージRSL1と繊維状ファージRSM1–3を用いた持続的な病原菌制圧と植物予防効果について解説する.

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© 2014 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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