化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
解説
植物の転写活性化因子を転写抑制化因子に変換するCRES-T法
その歴史,現状,展望
光田 展隆高木 優
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52 巻 (2014) 7 号 p. 438-446

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抄録

一つで多くの遺伝子発現を制御する転写因子は,遺伝子組換え技術における操作対象として魅力的である.強力で短い転写抑制ドメインを転写因子のC末端(もしくはN末端)に付加したドミナントネガティブ体(キメラリプレッサー)を発現させる Chimeric REpressor gene-Silencing Technology (CRES-T) 法は,キメラリプレッサーが本来の転写因子の標的遺伝子の発現を抑制することによりノックアウト(多重変異体)同様の表現型を誘導する.CRES-T法はこれまでにモデル植物において機能が未知であった多くの転写因子の機能を明らかにしてきただけでなく,実用植物においても優れた形質を付与できたり,CRES-T法を適用した種子のライブラリーをスクリーニングすることにより環境ストレス耐性を示すCRES-Tラインを同定できたりすることがわかってきた.CRES-T法の作用原理はいまだよくわかっていないが,WD40タンパク質であるTOPLESSを介して,ヒストン脱アセチル化酵素を呼び寄せるという説が有力な仮説になっている.CRES-T法の表現型は基本的にノックアウト(の掛け合わせ)で再現でき,ノックアウトはNBT技術によって任意のものを比較的作りやすくなってきているので,NBT技術によってCRES-Tラインを再現し,導入遺伝子を戻し交配などによって抜くことにより,実質的に非組換え体としてCRES-Tラインを再現できる可能性がある.

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© 2014 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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