2016 年 54 巻 2 号 p. 109-116
黄麹菌Aspergillus oryzaeのゲノム解析の結果,約130種のタンパク質分解酵素遺伝子が存在することが明らかとなってきた.この数は,同時期に発表されたAspergillus属のなかでは最大の数であった.麹菌タンパク質分解酵素の産業的重要性が高いことを考え,これらの酵素の酵素化学的性質を明らかにすることを試みている.これまでの結果からは,今までに麹菌では見つかっていなかった性質をもつ酵素がいくつも存在することがわかってきた.また,菌株による基質特異性の違いも示されてきた.これらの新しい酵素が産業的に利用されることを願って,麹菌タンパク質分解酵素の概要を解説する