2016 年 54 巻 9 号 p. 640-649
2-オキソグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ(2OGD)は二価鉄を含む水溶性のジオキシゲナーゼであり,低分子化合物からタンパク質やDNAまで様々な生体分子に対して水酸化や脱メチル化など多彩な酸化反応を触媒する.2OGDは細菌から植物,動物まで広く存在しており,ヒトには約60個,各植物種のゲノムには0.5%を占める2OGD遺伝子が存在しているが,進化系統解析に基づく分類命名法は確立されていない.本解説では,生物界全体の2OGDを比較解析し,2OGDの進化と多様性,および代謝活性の有用性について考察する.