2017 年 56 巻 1 号 p. 18-25
生体のタンパク質を構成するアミノ酸はすべてL体であるというのが,科学の常識であった.しかし近年,加齢や老化に伴って,種々のタンパク質中のアミノ酸残基が非酵素的に異性化し,D-アミノ酸残基が形成されることが明らかとなっている.さらに,これらは疾病との関連が指摘されており,新規のバイオマーカーとしても期待されている.しかしながら,ペプチドやタンパク質中のD-アミノ酸残基を正確に検出するのは,一筋縄ではいかない.本稿では,ペプチドおよびタンパク質中に含まれるD-アミノ酸残基の検出方法について,一般的な手法から最新の手法について解説する.