化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
解説
植物が香り化合物を出す仕組み,吸う仕組み
単純拡散では説明がつかない
松井 健二望月 智史
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 56 巻 2 号 p. 95-103

詳細
抄録

植物はさまざまな香り化合物を作り,環境中に放出する.個々の香り化合物にはそれぞれの役割があり,香り化合物放出は植物の生き残り戦略の一つである.これまでの研究で香り化合物を作る仕組みはかなり明らかになったが,作られた香り化合物がどのようにして植物組織から環境中に放出されるのかはまだよくわかっていない.一方,植物は香り化合物を取り込む.この場合も植物がどのように香り化合物を取り込むのか,その仕組みは明らかでなかった.最近になってようやく香り化合物の放出と吸収が精細な仕組みで制御されていることがわかってきた.本解説では香り化合物放出・吸収の仕組みに関する最新の知見を,筆者らの成果を交えて紹介する.

著者関連情報
© 2018 公益社団法人日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top