2018 年 56 巻 7 号 p. 496-502
長大な海岸線と広大な海域を有するわが国にとって,海洋バイオマスは国内自給が可能な再生可能資源である.筆者らは,微生物の力を借りることで(すなわち微生物発酵技術により),海藻由来の未利用糖質をバイオ燃料や化成品などに変換することにより有効利用したいと考えている.海藻糖質のなかでも褐藻由来糖質(アルギン酸とマンニトール)の利用に一貫して取り組んでおり,微生物としては,ここ最近は出芽酵母(パン酵母Saccharomyces cerevisiae)を対象としている.本稿では,アルギン酸とマンニトールの出芽酵母による有効利用へ向けた研究の最近の動向を,筆者らの最近の成果も交えつつ紹介したい.