2018 年 56 巻 8 号 p. 550-557
筆者は,山口大学農学部に着任して24年目となり,「香り」をテーマとして研究を続けている.香りを分子で捉え,有機化学的な観点から究明している.今回は,基礎的な研究ではなく,農芸化学と香料化学の融合的な研究内容とその実践的活用例を紹介したい.すなわち,香りのヒトに対する効果の検証例をもとに実践的な活用法の提案と,地域の要望を受け取り組んだ香りに注目した新食材や食品の開発例の,食べると柑橘の風味が広がる「柑味鮎(かんみあゆ)」,香りに特徴のある「山口大学スイーツ」,山口県の新たなソウルフードを目指した「山口餃子」を紹介する.