化学と生物
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農芸化学@High School
腹ペコアリと満腹アリの行動学的考察
西日本を中心に拡大するアルゼンチンアリの分布調査とフェロモンを使った駆除
勝野 浩志野村 真愛平林 功多若尾 岳登藤本 千夢柘植 千佳長谷川 雄登竹腰 和真山本 忠輝貝川 太亮
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2018 年 56 巻 8 号 p. 581-583

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抄録

本研究は,日本農芸化学会2018年度大会(開催地:名城大学)における「ジュニア農芸化学会」で発表された.外来特定生物であるアルゼンチンアリについて,種特異的に有効な道しるべフェロモンに着目し,誘引捕獲による「大量誘殺」法の開発を目的とした.アリのフェロモンと採餌行動の関係を明らかにする実験では,「腹ペコアリ」はフェロモン軌跡を「巣」から「エサ場」に,「満腹アリ」はその逆にたどることを明らかにした.続いてフェロモントラップの作成に進み,ろ紙とペットボトルを加工した蟻地獄型容器がアリの捕獲に最適であること,また道しるべフェロモンを誘引だけでなく,正規航路のかく乱にも有効であることを見いだした.これらは,新規なフェロモン農薬の開発にもつながる独創的かつ画期的な結果として,学会から高く評価された.

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© 2018 公益社団法人日本農芸化学会
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