2020 年 58 巻 8 号 p. 453-460
ある種の酢酸菌は,グルコースなどの糖を基質としてセルロースを合成する.セルロースは,ターミナルコンプレックス(TC)と呼ばれる細胞膜に局在する酵素複合体によって合成される.酢酸菌によって合成されるセルロースは,太さが50~100 nmであり,TCはナノファイバーを紡ぎ出す超精密なナノマシンであるといえる.酢酸菌のTCには少なくとも4つのサブユニット(CeSABCD)が含まれており,糖転移反応による重合,排出,繊維化,結晶化という非常に複雑な過程を司っている.本解説では,これら4つのサブユニットの構造・機能について,他のセルロース合成菌における最近の知見を含めて紹介する.