2021 年 59 巻 5 号 p. 247-253
メタン発酵(嫌気性消化)は嫌気的な環境下で複雑な有機物をメタンと二酸化炭素に分解する方法であり,生ごみや余剰汚泥等の有機性廃棄物の処理に応用されている.回収されたメタンガスは発電等に利用されるため,メタン発酵はエネルギー資源回収技術として有効である.メタン発酵は加水分解・酸生成・酢酸生成・メタン生成の4つの過程に分けられ,各過程にかかわる微生物同士が物質のリレーをしながら進行する(図1).メタン発酵の効率を高めるために微生物を保持する固定化担体を設置する発酵槽(fixed film reactor)が開発されており,筆者らは導電性付着担体である炭素繊維を充填した発酵を固定床式発酵と呼んでいる.