抄録
大学における授業実践で重要な視点は、中教審答申(2018)「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」で強調された「学修者本位の教育への転換」であり、同じく中教審答申(2021)「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」のサブテーマでもある「個別最適な学び」と「協働的な学び」である。本稿では、筆者が2023年4月に本学に特任教授として着任し担当した1年生対象の2つの授業「教育学概論」と「教職論」の実践展開とその省察を論じる。「教育学概論」では窓ぎわのトットちゃんに共感しトモエ学園校長の小林宗作を理想的な教師像とする学生たちは、「教職論」ではいじめ問題をグループで調査探究し自身のいじめ体験も振り返り、いじめのない学校や社会を描く。将来教師を目指している学生たちは、入学後の初めての授業で教育学の専門科目と出会った。2つの授業を通して学生たちが将来の教師像をどのように描いたのかを明らかにしたい。