土木学会論文集B2(海岸工学)
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和文論文
土壌中の化学成分を用いた津波浸水域の調査方法
吉井 匠今村 正裕松山 昌史越村 俊一松岡 昌志MAS ErickJIMENEZ Cesar
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2011 年 67 巻 1 号 p. 49-62

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抄録

 日本の沿岸域は,幾度となく津波による壊滅的な被災を被ってきた.地震の発生は準周期的であることから,過去の津波被災状況を調査することは極めて重要である.本研究では,津波浸水域の客観的かつ高精度な調査方法として,土壌中の化学物質を用いた調査法を提案し,2010年チリ津波の現地調査においてその有効性を検証した.津波の浸水域内外の土壌を分析した結果,浸水域内の土壌には多量の水溶性イオン(Na+,Mg2+,Cl-,Br-,SO42-)が含まれていた.これらのイオン含有量を用いて,津波浸水域の判別分析を行った結果,Na+,Mg2+,Cl-,Br-,SO42-,および電気伝導度を用いた場合に90%以上の高い判別的中率が得られた.土壌および海水中のイオンの含有量を検討した結果,Br-,Cl-,Na+が津波浸水域の判別に適していると考えられた.

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© 2011 公益社団法人 土木学会
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