2014 年 70 巻 1 号 p. 15-30
本研究では海上に流出した油の漂流予測を行うため,油膜自身の特性による油拡散(Spreading),流れの乱れによる乱流拡散(Diffusion)及び海表面流れによる移流を計算できる数値計算モデルである,油拡散粒子モデルを開発した.構築したモデルを用いて,2007年に発生した韓国泰安沖油流出事故と1997年に発生した東京湾油流出事故の2つの事例に関する再現計算を行った.同じモデルを用いて計算を行い,再現計算結果と観測結果を比較し共に精度のよい結果が得られたことから,本計算モデルは汎用性・有用性が高いと考える.また移流外力の与え方について検討を行い,適切な再現方法について考察を行った.特に油の風による移流は風係数法で計算するとよく再現できるため,有用性が高いことがわかった.