2014 年 70 巻 1 号 p. 50-64
東北地方太平洋沖地震に伴う巨大津波により,原町火力発電所には浸水高約20m(浸水深約15m)の津波が押し寄せ,発電設備に大きな被害が生じた.本研究では,今後の発電所の津波被害軽減を目的に,数値計算を用いて3.11津波による原町火力発電所の被災過程を検討した.その結果,発電所被災は主に敷地南側から浸水した氾濫流により発生し,さらに,海岸からの反射波の重畳による水位上昇が氾濫流を増長させたことが明らかとなった.また,発電所が立地する福島県沿岸域は3.11地震で生じた複数の断層の水位が重複する地点であったことから,来襲する津波が周辺海岸に比べて大きくなったことが示唆された.今後の津波対策として,発電所の津波脆弱箇所である南側敷地への防潮堤の設置が有効であることを明らかにした.