2015 年 71 巻 1 号 p. 42-51
東日本大震災においては,津波の越流が生じて多くの海岸堤防が破壊された.特に,コンクリートブロックで被覆した三面張りの堤防は,裏法面のブロックや内部の地盤が流されて特異な形態で破壊した.三面張り堤防の破壊メカニズムは水理実験や流体解析などによって検討されているが,地盤の挙動を含めた検討は進んでいない.そこで本研究では,地盤を含んだ模型実験を実施して地盤挙動を含めた越流による三面張り堤防の破壊特性を観察した.実物スケールの地盤の応力状態や水圧状態を再現できる遠心模型実験を津波越流問題に適用したことを特徴としている.模型実験によって,裏法面を流れる越流水の影響に,堤防内部の地盤での浸透現象が複合することで堤防が破壊に至る過程を観察した.