2015 年 71 巻 2 号 p. I_1051-I_1056
流起式防波堤は,津波波力自体を駆動力として扉体を起立させる新しい形式の可動防波堤であり,人為的な操作を不要とする利点を有している.しかし,現状ではその挙動を再現できる数値解析技術は開発されていない.そこで,本研究では,流起式防波堤に適用可能なシミュレーションモデルを開発し,水理実験結果と比較することによって,モデルの有効性を検討する.流体は,高精度粒子法を用いて解析し,防波堤扉体は剛体として扱う.また,扉体の運動を拘束するベルトは質点バネモデルで表現する.波高の異なる2種類の孤立波をそれぞれ造波し,防波堤周辺に設置された計測点における波高および流速を水理実験結果と比較したところ,両者ともに計算結果は実験結果と良好に一致し,本モデルの有効性が示された.