2015 年 71 巻 2 号 p. I_1531-I_1536
災害外力の将来予測については,全球モデルによる気候変動予測値の利用が有効である.しかしながら,予測値は少なからずモデルバイアスを有しており,予測値をそのまま外力条件として数値シミュレーションを実施しても将来の災害外力を想定することは困難である.本研究では超高解像度全球大気モデルの予測値MRI-AGCM3.2Sの海上風について,長期再解析値であるJRA-25と比較することで日本周辺における将来の波浪外力を予測するうえで適切な海上風速の設定方法を検討した.その結果,風速17m/s以上の強風条件で補正が必要であること,緯度方向には補正式を変化させるべきであることが示唆された.さらに,緯度と風速に関する補正式を提案し,波浪推算を行った結果,将来の最大波高予測について現実的な結果を得ることができた.