2015 年 71 巻 2 号 p. I_1615-I_1620
人的被害リスク評価や最適対策の選択スキームの精度向上を図るため,加藤ら1)が開発したポテンシャルモデルと個別要素法のハイブリッドモデルをベースに,GIS等の情報の活用による汎用化や,避難者の行動特性の自由度を増す改良を行い,実問題への適用可能なモデルを構築した.
提案モデルを実村落に適用し,その有用性を確認できた.提案モデルと経験に基づく従来法による人的被害推定結果には,対象地域の地形特性の影響考慮によるものと推察される明確な差異が見られた.また,過去のアンケート結果に基づいて避難開始時刻を正規確率分布で与え,避難開始が遅い集団は被災リスクが増大する結果となった.異なる規模の防災施設,避難行動特性が異なる日中と夜間の人的被害推定を行い,ハード対策とソフト対策の組み合わせによる人的被害低減発現の特性に関して考察した.