2015 年 71 巻 2 号 p. I_1735-I_1740
富栄養化水域である東京湾において,現地観測に基づいた人工衛星リモートセンシングによる環境モニタリング手法を提案した.現地観測では,湾内の光学的な特徴を調査し,植物プランクトンの光吸収係数(aph)とデトリタスの光吸収係数(ad)はChl-aと関係も持ち,有色溶存有機物の光吸収係数(aCDOM)は塩分と相関関係があることを示した.これらの特性を利用しBio-optical modelを構築することで,赤潮発生時における550nm付近におけるaphの上昇が,赤潮の光学的な特性の1つであることを示した.これらの知見に基づき現地観測結果同期型のFluorescence Line Height(FLH)によるChl-a推定,青色域,赤色域にバンドを使用したaCDOM推定,Multiband Quasi-Analytical Algorithm(QAA)を改良したad推定手法を提案し,さらにMODISセンサーの水温推定の精度検証を行った.これによって,これらの各パラメーターを空間的に同時推定できる可能性を示した.