2015 年 71 巻 2 号 p. I_265-I_270
消波工による津波波力の低減効果を明らかにすることを目的として,消波ブロック被覆堤に作用するソリトン分裂津波の波圧に関する水理模型実験を実施した.消波工がない場合の波力実験結果から,津波の水平波力算定式として谷本式および修正谷本式の妥当性の確認をするとともに,それらの津波高水深比による適用範囲と静水面の波圧に関する係数の値を明確にした.揚圧力は津波高水深比によらず,一律,谷本式による算定が妥当であることを確認した.消波工で被覆しない状態での波力の算定値と消波工で被覆した防波堤に作用する波力の実験値とを比較検討し,消波工によるソリトン分裂津波の波力低減を精度よく算定する式を提案した.また,消波ブロックの安定実験を行い,風波の設計波高に対する所要質量を有するブロックは,ソリトン分裂津波に対して安定であることを確認した.