土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
ベイズ情報量基準を用いた確率論的津波浸水予測手法の開発と検証
高川 智博富田 孝史
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2015 年 71 巻 2 号 p. I_379-I_384

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抄録

 非線形の強い現象である津波浸水現象を沖合津波観測波形データから予測し,予測のあいまいさを区間推定する手法を構築した.手法は階層ベイズモデルに基づく津波波源の区間推定,区間推定結果からの津波波源のモンテカルロサンプリング,複数サンプル波源による津波浸水シミュレーションに基づくアンサンブル解析からなる.階層ベイズモデルの開発においては,赤池ベイズ情報量基準の解析積分に基づいてハイパーパラメーターを最適化する方法を構築し,解の安定性の向上と計算コストの低減を実現した.南海トラフ巨大地震津波を想定した双子実験により開発手法の妥当性を検証した.その結果,10分間のGPS波浪計の観測データに基づき,名古屋港周辺の津波浸水面積を誤差10%の精度で予測可能であること,区間推定結果を用いることで,過小評価のリスクを適切に抑えた予測情報の提供が可能であることが示された.

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© 2015 公益社団法人 土木学会
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