2015 年 71 巻 2 号 p. I_385-I_390
津波計の観測データを利用したアンサンブルカルマンフィルタによるリアルタイム津波予測手法において,アンサンブルメンバーの設定の違いによる推定精度の相違を双子実験で検討した.その結果,アンサンブルメンバーの設定に違いにより,対象を同じとする津波のリアルタイム予測でも推定精度にかなりの差が生じることがわかった.またアンサンブルメンバーと対象津波の初期波源との相関関数を用いた検証により,推定したい津波の初期波源と同じようなアンサンブルメンバーを設定した方が推定精度は高くなることも明かになった.さらに,アンサンブルメンバー数をむやみに増やしても推定精度は良くなるどころか悪くなる場合さえあることもわかった.今後は未知の津波にも対応できるアンサンブルメンバーの設定方法を構築する必要がある.