2015 年 71 巻 2 号 p. I_499-I_504
岩手県陸前高田市における,2011年東北地方太平洋沖地震津波による大規模土砂移動を対象とした再現計算を実施した.その結果,津波の遡上過程や浸水高,地形変化量や海域における堆積土砂の分布傾向を,本計算が良好に再現することを示した.そして,津波による地盤の侵食は,従来の土砂移動を考慮しない解析と比較して陸域における遡上過程を早める効果を有することがわかった.また,2011年東北地方太平洋沖地震津波の第一波目の来襲により高田松原は消失し,特に,引き波時の強い戻り流れにより顕著に侵食されたことを明らかにした.こうした強い戻り流れは,対象地域の地理的特性によって引き起こされる場合がある.すなわち,平野部の奥行きが中規模である地域に津波が来襲する場合,強い戻り流れが生じ,地形変化が大規模化し得る.