2015 年 71 巻 2 号 p. I_67-I_72
2014年に5つの台風が連続して来襲した宮崎海岸において,砕波帯内外の波浪・海浜流と地形変化を分析した.台風時には,主として南からの波浪により,北向きの強い沿岸流が観測されるとともに,30~300sの周期を持つ長周期変動が発達し,その発達特性は台風経路と密接に関連していた.波・流れの観測値から沿岸漂砂量を算出したところ,平均的には南向きの沿岸漂砂が卓越する同海岸において,50万m3を超える北向きの沿岸漂砂が発達したと推定され,これは,台風期前後の地形測量結果と整合的であった.台風時の沿岸漂砂量から,台風の特性に応じて土砂移動特性が大きく変動することが確認された.台風後に三次元的な地形が発達した大炊田海岸において,地形変化と沿岸方向に進行するエッジ波との関連が示唆された.