2016 年 72 巻 2 号 p. I_1345-I_1350
多量に堆積した有機物が嫌気分解して強く還元化し底生生物が生息できなくなった底質環境において,生物が再生していく過程を現地実験により検討した.本研究の目的は現地実験を通し還元土壌における底生藻類の発生,種の遷移していく過程を明らかにすることである.実験では,生物再生を促すため,電子受容体の供給によって土壌の還元状態を抑制した.電子受容体を還元土壌に供給する方法として,土壌を浅場(干潟)に設置する方法とアルカリ剤である石炭灰造粒物基盤を構築する方法を併用した.この結果,大型生物の生息に繋がる底生動植物の出現およびそれらの種の遷移,底生藻類の遷移が起こる動植物間の関連性,水泥質等との関係について明らかにされた.