土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
防護施設の津波避難に及ぼす影響に関する考察
有川 太郎野地 徹平野 弘晃遠藤 雅人
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2016 年 72 巻 2 号 p. I_1561-I_1566

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抄録

 本研究では,東日本大震災時における死亡率と防潮堤の高さについて,既存のアンケート調査を用いて整理するとともに,津波避難シミュレーションを実施し,防潮堤の人的被害に及ぼす影響を検討することを目的とした.シミュレーションは2つの地域を対象とし,津波遡上計算ならびに,避難シミュレーションを実施した.その結果,東日本大震災の条件では,防潮堤を高くするよりも避難開始時刻を早くすることのほうが,死亡率を減少させるには大きな効果があることが示唆された.シミュレーションの結果から両地区において,防潮堤整備による浸水範囲の減少は約5%,死亡率の減少率は約10%から20%が確認された.また,10分以内に避難すれば,防潮堤の高さに関係なく,本条件下では死亡率がゼロとなった.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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