2016 年 72 巻 2 号 p. I_1585-I_1590
実践的な防災訓練を繰り返し行うことは重要であるとされているが,一般的な防災訓練は単発で終了してしまうことが多く,さらにはそういった訓練を繰り返すことによる効果も客観的に明らかにされていない.本研究では,2013年度以降宮城県亘理町で毎年開催されている津波避難訓練を対象とし,防災訓練を繰り返すことによる変化・効果を明らかにすることを目的とする.その際,住民の避難完了時間,安否確認の効率,訓練後のふり返り内容の3点に着目した.その結果,同様の条件で防災訓練を繰り返すことで,1)同時間内に津波浸水域外へ避難できた住民の割合が増えたこと,2)より早く小中学生の安否が確認できるようになったこと,3)地域の新たな問題点が見え前年度の「改善を要すること」の項目が改善され,その数が減少すること,の3点が得られた.