土木学会論文集B2(海岸工学)
Online ISSN : 1883-8944
Print ISSN : 1884-2399
ISSN-L : 1883-8944
論文
秋田県男鹿市および八峰町における津波堆積物調査
鎌滝 孝信高渕 慎也松冨 英夫阿部 恒平黒澤 英樹
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 72 巻 2 号 p. I_1693-I_1698

詳細
抄録

 秋田県中-北部の男鹿市および八峰町の沖積低地で採取されたボーリングコア試料から,湿地に堆積した泥炭や有機質シルトを主体とした細粒堆積物中に,砂を主体とした粗粒堆積物がみいだされた.そのなかのいくつかは基底面が侵食面であること,堆積物の下部にリップアップクラストが含まれること,内部に平行層理,斜交層理などがみられること,最上部には植物遺骸が密集することなどの特徴を持つ.これらは,ある程度強い水流によって堆積物が再移動し,それが急速に堆積したイベント堆積物である.これらイベント堆積物は,内部構造や調査地点の地理的特徴から,現時点では津波によって形成された可能性があると考える.それらイベント堆積物の形成年代は,14C年代測定値から男鹿市のものが16~17世紀以降,八峰町のものが13~15世紀頃と推定される.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top