2016 年 72 巻 2 号 p. I_259-I_264
2011年東日本大震災津波により河口部において生じた大規模地形変化は津波の河川遡上特性に影響を与えた可能性が高く,津波遡上を精度よく予測するには,地形変化過程を同時かつ高精度に解く必要がある.津波遡上過程および地形変化過程再現精度の向上を目的として,k-ωモデルを浅水流方程式モデルと連立して解くことで底面境界層の非定常性を考慮した数値計算手法を津波遡上計算へ適用した.
津波下における境界層の発達過程が計算され,非定常性の強い津波先端部の通過時に局所的に大きな底面せん断力が生じた.移動床条件での計算に適用した結果,定常抵抗則による計算結果と比較して最大1m程度地盤高の変化量に差が生じたが,実際に津波時に生じた河口砂州のフラッシュは本手法においても再現されなかった.