2016 年 72 巻 2 号 p. I_295-I_300
本研究では,歴史資料を利用して最尤法により母数を推定して,どのような条件で地震津波規模の再現確率値の推定精度が向上するかを議論している.年最大値資料は,観測時代,歴史時代Iおよび歴史時代IIに分けられ,それぞれの歴史時代で閾値U1およびU2,データの誤差R1およびR2を持つものとして,モンテカルロシミュレーションが実施された.日本海東縁部の地震規模が指数分布に従うものとして,シミュレーションを実施し,100年確率値およびその標準偏差等を推定した.歴史時代のデータを用いると,100年確率値は若干負のバイアスが発生し,データの誤差が大きいほどバイアスがやや大きくなる傾向にあった.歴史資料の年数が100年程度の短い場合には,推定された100年確率値の精度がむしろ低下するが,十分に長い歴史データを追加することにより,推定精度が向上することが分った.