土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
津波・高潮実験のための自走式造波装置の提案
臼井 彰宏平塚 優作青木 伸一川崎 浩司
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2016 年 72 巻 2 号 p. I_31-I_36

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抄録

 東北地方太平洋沖地震以降,粘り強い海岸・港湾構造物の必要性が指摘され実験的な検討も行われているが,実験で実際の津波に近い波を造波することは難しい.本研究では,著者らが提案した自走式造波装置の特徴や可能性について,体積力型IB法を導入したCADMAS-SURF/3Dを用いて検討した.その結果,次の知見を得た.1)造波板の長距離運動によって水路内に生じる定常波の大きさは造波板移動時間と指数関数的な関係にあり,造波水槽内の固有振動周期での振動が卓越する.2)越流実験については,ゲート式に比べて越流時間や越流水深を容易に制御できる.3)高潮のような水位上昇と同時に短周期の波を造波する際には,ドップラー効果を考慮することで目的の波の周波数に近づけられる.以上より,本装置を用いることでより実際に近い津波・高潮実験が可能となることが示された.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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