土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
砕波乱流下における炭酸ガス濃度の時空間変動特性
大塚 淳一渡部 靖憲
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2016 年 72 巻 2 号 p. I_97-I_102

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抄録

 一様勾配斜面を設置した造波水槽内の砕波帯で溶存炭酸ガス濃度と流速,混入気泡の画像計測を行い,砕波帯におけるガス輸送特性を明らかにした.気泡混入量が多く,強い乱れエネルギーが生じる遷移領域では,気相から液相へのガス輸送が活発であると同時に乱れによる拡散が瞬時に行われるためガス濃度は容易に上昇しない.水深が浅く乱れエネルギーが比較的小さいボア領域では,遷移領域よりもガス濃度が速く上昇する.ボア領域で高濃度化した溶存ガスは底面付近で発達する比較的強い戻り流れによって沖側深部へ輸送される.砕波帯全体のガス輸送を評価・予測する際には,気泡や流体の乱れによる気相から液相への直接的なガス輸送に加えて,底面付近で発達する戻り流れのガス輸送への寄与を評価する必要がある.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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