2017 年 73 巻 2 号 p. I_1027-I_1032
津波の流れに対する被覆材の安定性に関する基礎的な知見を得ることを目的として,台形マウンドでの実験と,堤頭部を再現した実験の2種類の水理模型実験を実施した.津波の流れによる被覆ブロックの移動形態として,マウンドの法肩部や稜線部からの離脱と,ケーソン際の天端部からの離脱の2種類の形態を確認した.移動形態によって安定限界時のイスバッシュ定数が異なっており,後者の移動形態に関しては抗力以外の要因により離脱が生じている可能性が示唆された.またイスバッシュ式の適用に関しては,適切な斜面勾配のとり方や流速の測定位置を検討することが今後の課題として挙げられる.その際,イスバッシュ定数を決定するための実験時とイスバッシュ式により所要質量を算定する際との定義を整合させることが必要である.