2017 年 73 巻 2 号 p. I_121-I_126
沿岸域の防護には,2段階の設計レベルを用いる.これは土木工学の古くからある重要な考え方である.その際,外力の想定レベルは,長短2種類の再現期間で特徴付けられる.しかしながら,非常に長い再現期間は,ともすれば無意味どころか,視点を変えれば,あり得ない対象として否定的に解釈される恐れがあり,防災・減災を検討する上での障害になる.むしろ,単一の再現期間を与え,来襲する頻度が高い階級と最大級の外力規模を解釈する方が,意味が明確に特徴付けられ,否定的な意味合いも含まれない.そのために本研究では,不確実性の原因を整理し,従来から用いられる信頼区間とは異なる予測区間を扱う必要があることを示す.特に,ベイズ標本の低次モーメントで定義される生起率および経験度を算出することで,設計外力の判断に役に立つことを示す.