2017 年 73 巻 2 号 p. I_1315-I_1320
JCOPE2-ROMSダウンスケーリングシステムによる2段ネスト琉球諸島海域流動モデリング及びサンゴ卵・浮遊幼生を想定した3次元Lagrange粒子追跡数値実験を行い,コネクティビティの評価と黒潮に捕捉されて長距離輸送される粒子(LDP)に着目した広域分散解析を実施した.粒子の多くは放卵海域内及びその周辺に漂着するが,黒潮により北東方向へ輸送されるLDPは放卵粒子総数の約1割に達し,サンゴ生態系の島間リンク形成に大きく寄与することを示した.石西礁湖北部海域を放出源とした粒子は常にLDPに寄与するが,南部海域起源のLDP発生確率は放卵時の経度方向流速に強く影響されていた.また,黒潮により北東方向へ輸送されたLDPは,琉球諸島と黒潮間に発達するメソスケール渦に伴う黒潮反流により黒潮を離脱し沖縄本島へ接近することが示唆された.