抄録
我々は,代償措置によって創出された徳島県沖洲地区の人工海浜において,希少種ルイスハンミョウ幼虫の生息環境を創出し,維持管理する方法を解明することを目的に実験を行った.実験区は,これまでに明らかになっている幼虫の生息環境条件を満たすように創出し,幼虫生息標高場の面積や植生被度の季節変化,地盤変動のしやすさを解析した.その結果,実験区が幼虫生息不適地となった要因を,(1)海側で土壌浸食をうけること,(2)陸側で植生被度が高くなることの二つに大別でき,海浜地形が影響していることがわかった.本研究により幼虫の生息適地を創出することができた,しかし植生の繁茂や砂の堆積などによりその生息場は約3年しか維持されないことから,人為的な維持管理を継続的に行っていく必要も明らかとなった.