2017 年 73 巻 2 号 p. I_1441-I_1446
ブルーカーボンの時空間変動を連続的な観測で捉えることは困難であり,数値モデルによる予測手法も未確立である.そこで本研究ではCO2フラックス推算モデルを構築し,数値計算による炭酸系パラメータの時空間分布の再現,および気候変動を考慮した2100年の東京湾における年間の炭素収支推算を目的とする.2016年の夏季に現地観測を実施し,TA,DICの浚渫窪地と航路を含む空間的な分布を捉えた.また,数値計算を通して炭酸系パラメータの再現は大気・海面および水底質間のDICフラックスに大きく依存することが明らかになった.最後にRCPシナリオを想定した予測計算を行い,東京湾における炭素貯蔵量の将来予測を行ったところ,RCP8.5では東京湾はCO2の放出域に転じる可能性が示唆された.