2017 年 73 巻 2 号 p. I_19-I_24
多孔質体内部を流体が通過するシミュレーションを実施する際には,多孔質体の形状抵抗および流体排除の効果を加味しなければならない.粒子法においては,多孔質体内を移動中の粒子にのみその効果を考慮する必要があるが,既往の研究では,形状抵抗として付加抗力は作用させるものの,流体排除の効果は無視する簡略化した取り扱いがなされてきた.多孔質体が常に水没する条件においてはこのような扱いでも特に問題はないが,消波工設置領域のように多孔質体内に水表面が存在する場合は,体積保存の問題が顕在化し,越波量等を正しく評価できない.そこで,本研究では,消波工内の水粒子の体積を見かけ上増加させることで流体排除の効果を考慮した.消波護岸の越波解析を実施し,実験結果との比較を通じて本モデルの有効性を検討した.