2017 年 73 巻 2 号 p. I_211-I_216
台風特性の変化傾向を解析し,経路シフトや気圧変化のトレンドと変動特性が各緯度帯で異なることを示した.また,大気・海洋変動指標とのコヒーレンス解析より台風特性は特定の周期変動で高い相関を示した.トレンドの変化分析に基いて,台風資料のフェーズ区分を行い,統計的に等価と考えられる台風特性の変化シナリオから高潮ポテンシャルの変化を推定した.三大湾では顕著な差にはならなかったが,主に経路変化に起因して,1980年以降には大阪湾と伊勢湾で高潮ポテンシャルが小さくなる傾向にあり,東京湾の東岸では高くなる傾向が見られた.