2017 年 73 巻 2 号 p. I_295-I_300
大規模地震における断層すべり分布の時間発展と最終的なすべり分布の不均一性を少ないパラメータ数で再現する断層モデルとして,円錐型のすべり分布を想定する断層モデルを開発した.東北地方太平洋沖地震による海底地表変位と岩手,宮城,福島の沖合津波波形を計算し,観測値の再現精度を評価した.一方,矩形断層面で一様すべり量を想定する従来の断層モデルについても同様の評価を行った.断層パラメータ数と津波波形の再現精度を比較するため,両モデルにおいて,単一の場合および複数断層を組み合わせた場合を検討した.その結果,新しく開発したモデルの方が従来モデルより少ないパラメータ数で津波波形を精度よく再現した.また,モーメント解放速度の時間変化が,遠地地震波および強震動のインバージョンで得られたものと調和的であった.