2017 年 73 巻 2 号 p. I_307-I_312
2011年東北地方太平洋沖地震津波においては,被災状況把握の遅れが人的被害を拡大した一つの要因になった.この問題を改善するためには,激甚被災地の探索技術の開発が求められている.津波数値計算を用いた激甚被災地探索の推定精度は,外力条件の精度に大きく影響される.そこで本研究では,津波発生直後にGPS波浪計で観測される限られたデータのみを使用した特性化波源モデル推定法を提案した.これは,地震発生時に公表される地震規模および震源のみから決定した矩形断層モデルを初期条件として津波伝播計算を実施し,観測結果と計算結果の比較から津波断層モデルを修正し,再度計算を繰り返すことで不均質性を考慮した特性化波源モデルを推定する手法である.特性化波源モデル推定法の適用例として,南海トラフ巨大地震津波を対象に検討した.