2017 年 73 巻 2 号 p. I_685-I_690
福島新田川流域には原発事故直後に大量の放射性セシウム137が大気経由で沈着し,河道に集積した高濃度の懸濁態137Csが出水毎に間欠的に海域へ供給され,沿岸域の底質環境に影響を与え続けている.本研究では,4段ネストJCOPE2-ROMS海洋モデル,多粒径3次元土砂輸送モデル,波浪推算モデルSWAN,河道モデルiRIC-Nays2DH,放射性核種吸着モデルを連成させた超高解像度広域土砂・懸濁態137Cs海洋分散モデリングを行い,台風201326号出水イベントに伴う河川起源土砂の河口・沿岸域における堆積・浸食状況の時空間特性を評価した.さらに懸濁態137Csインベントリ解析を行い,水深5 mまでの河口域,水深10mまでの河口外縁域での堆積,沿岸漂砂等による河川起源137Csの海域堆積層への移行特性を定量化した.