2017 年 73 巻 2 号 p. I_79-I_84
深海底乱流予測の高精度化を目的として,相模灘の現地乱流観測を実施するとともに,既存鉛直混合スキームの深海乱流の再現性を検討した.4測点中1測点の観測結果は,水深1000mを超える深海底直上で乱流エネルギー散逸率が10-6m2s-3の非常に強い乱流が発生しており,10-7m2s-3の海底混合層が高さ150mにまで達していた.標準型k-ε,Mellor (2001),Furuichiら(2012)の3つの鉛直混合スキームに各2種類の境界条件を与えて流動シミュレーションを行ったが,いずれも混合層厚を過小評価した.その中でFuruichiら(2012)モデルは,境界条件に比較的左右されずに比較的大きい混合層厚を算定する傾向があり,乱流長さスケールの改良により精度向上が見込めることが示唆された.