土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
構造物に衝突し打ち上がった水塊の落水によって生じる波力特性について
水谷 夏樹梅田 尋慈池本 将大
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2017 年 73 巻 2 号 p. I_919-I_924

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抄録

 本研究は,陸上遡上津波による鉛直二次元壁への衝突現象を取り扱い,中でも津波の先端が壁面衝突後に打ち上がり,その水塊が後続流の上に落下着水する際に生じる波圧と波力の特性について実験的に検討を行った.高速ビデオの画像と波圧の同期計測から,打ち上がった水塊が落下着水する際に壁面の圧力が上昇し,極大波力を発生させるが,条件が揃えばそれが最大波力となるケースもあった.これらの落下着水現象を,衝突速度を初速度とする鉛直投げ上げと最大打ち上がり高さからの自由落下であると仮定すると,衝突から落下着水までの無次元時間を進行波の最大水位で説明できることが分かった.また,落下着水による極大波力発生時の鉛直波圧分布は静水圧分布にはならず,全作用高さの1/2以下では圧力分布が一様になる傾向を示すことから,構造物への作用波圧は静水圧分布を前提としない対策の必要性が示唆された.

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© 2017 公益社団法人 土木学会
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